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喘息患者さんに対するフィジカルアセスメント

喘息患者さんは、呼吸困難が苦しい状態です。

 

無理に話をさせたり、無理な体位をとらせたりしないように注意し、
発作の重症度によっては迅速に対応しなくてはいけません。

喘息患者さんに対するフィジカルアセスメントの流れ

(1) 問診・視診

 

喘息患者さんに対するフィジカルアセスメントでは、
会話ができる状態であれば、
呼吸状態に十分注意をしながら、必要なことだけを聞くようにします。

 

問診の際に、視診も一緒に行うようにします。

 

患者さんの呼吸状態に十分注意しながら、
患者さんとかかわるようにします。

 

(2) 聴診

 

聴診を行います。

 

喘息患者さんに対する問診の観察ポイント

 

・呼吸困難感の程度
・発作時薬の使用の有無・薬剤名
・発作について(いつから出現したか、頻度は、どんなときに出現するか)
・咳嗽の有無
・喀痰の有無・性状
・内服薬の種類、内服方法
・睡眠状態
・既往歴
・アレルギーの有無
・喫煙歴、周囲の人の喫煙歴
・家庭環境、日常生活について(ペットを飼っているか、ストレスの有無、
住居環境の変化、生活用品の変化、転職の有無、その他最近起きた大きな変化の有無)

 

喘息患者さんに対する視診のポイント

 

・表情、顔色
・意識状態
・チアノーゼの有無・程度
・体位(臥床可能か、起座位か、体動可能かなど)
・呼吸の回数・リズム・深さ
・呼吸の型(呼気と吸気の割合、複式呼吸、口すぼめ呼吸、
肩呼吸、鼻翼呼吸など)
・肋間の陥没、鎖骨上窩の陥没、補助呼吸筋の使用
・SpO2

 

喘息患者さんに対する聴診のポイント

 

・呼吸の回数・リズム
・複雑音の有無
・呼吸音源弱の有無、左右差
・呼気延長の有無

呼吸音の聴診

聴診のポイント

 

聴診器には、膜面とベル面があります。

 

呼吸の聴診を行う場合は、膜面を使用します。

 

患者さんに聴診器を当てるときには、
自分の手掌で膜面を温めてから聴診するようにします。

 

しっかり、聴診をしたいので、
なるべく周囲が静かな環境で行うようにしましょう。

 

聴診の方法

 

聴診部位は、前面、後面を左右対称に聴きます。

 

聴く際には、今時分が肺のどの部分を聞いているのかを
イメージしながら聴くようにします。

 

患者さんには、可能であれば大き目の口呼吸をしてもらうと
聴きやすくなります。

 

聴診器を当てる場所は、肩甲骨や肋骨などの骨は避けるようにします。

 

必ず1箇所で呼吸の1サイクル(呼気と呼吸の両方)を聴きます。

 

 

・前面

 

前面は、上葉と中葉がほとんどを占めています。

 

前面を聴く場合は、患者さんには座位または臥位をとってもらいます。

 

呼吸困難がある患者さんの場合は、
患者さんの楽な体位で聴診するようにします。

 

・後面

 

後面は、下葉が大きく占めています。

 

後面を聴く場合は、患者さんには座位または側臥位をとってもらいます。

 

呼吸困難がある患者さんの場合は、
患者さんの楽な体位で聴診するようにします。

 

正常な呼吸

 

成人では1分間に12〜20回の呼吸を規則正しく行っていて、
吸気と呼気の割合は、1:2〜1:3というのが常で、
音は左右対称に聴こえるのが通常です。

 

聴診では、その音が正常であるかどうかを判断することから始めます。
ですから、まずは正常な状態を把握しておくことが大切です。

 

どの場所でどのような音が聴こえるのか、
何が正常なのかを覚えておくことが大切です。

 

・正常な呼吸音

 

正常な呼吸音には、以下の3つがあり、
それぞれ聴くことができる部位が異なり、特徴があります。

 

(1) 肺胞呼吸音

 

肺胞呼吸音は、肺野全体で聴こえます。

 

吸気がよく聴こえ、吸気:呼気は、3:1程度で、音の質は柔らかいです。

 

(2) 気管支肺胞呼吸音

 

気管支肺胞呼吸音は、気管分岐部付近で聴こえ、
吸気:呼気は、1:1程度で、音の質は肺胞呼吸音よりもやや高めな音です。

 

(3) 気管支呼吸音

 

気管支呼吸音は、輕部の太い気管部位で聴こえ、
吸気と呼気の間にはっきりとした切れ目があるのが特徴的です。

 

吸気:呼気は2:3程度で、高調な粗い音が聴こえます。

 

異常な呼吸音

 

患者さんの呼吸を聴診し、
「正常ではない」と判断した場合には、
どのような異常なのかをアセスメントします。

 

まずは、正常な音を知り、覚えることによって
異常音の発見ができます。

 

普段から、正常音を聴きなれておくようにすることが大切です。

 

複雑音

 

複雑音(ラ音)は、連続性ラ音と、断続性ラ音の二つに大きく分かれます。

 

そして、連続性ラ音と、断続性ラ音のそれぞれがまた二つに分類されます。

 

そして、そのほかの胸膜摩擦音が加わるので、
複雑音は、5種類に分けるのが基本です。

 

それぞれに音に特徴があり、
連続性ラ音は呼気に聴かれることが多く、
断続性ラ音は、吸気に聴かれることが多いです。

 

気管支喘息の患者さんでは、笛声音が聴こえることが多いですし、
息を吐き出すのが大変ですから、
呼気に時間がかかり、通常よりも呼気延長が見られることもあります。

 

さらに、呼吸音の異常を判断するには、
左右差の有無を確認することも大切です。

 

片方だけが減弱していたり、消失している場合は、気胸や無気肺、
逆に、増強しているのであれば肺炎などが考えられます。

 

炎症部位は、音の伝導が良くなるのが特徴です。

 

複雑音の種類

 

・連続性ラ音/いびき音(rhonchi)

 

低調性、ウーウー、グーグーといういびきのような音がするのが特徴です。

 

痰の貯留や気管支狭窄、肺がんなど、
太い気管支の狭窄がある場合にいびき音になります。

 

・連続性ラ音/笛声音(wheeze)

 

高調性、ヒューヒュー、ピーピーと口笛のような音がします。

 

気管支喘息、気管支炎など、細い気管支の狭窄がある場合に
笛声音になります。

 

・断続性ラ音/捻髪音(fine crackle)

 

細かい音、パリパリ、メリメリと
髪の毛を耳の前ですり合わせたような音がするのが特徴です。

 

うっ血性心不全初期、肺炎初期、肺水腫初期などの場合に、
捻髪音になります。

 

・断続性ラ音/水泡音

 

粗い音、ブクブク、ブツブツとお湯が沸騰しているような音がします。

 

気管支拡張症、肺水腫、うっ血性心不全、肺炎など、
分泌物の中を空気が通過してはじけるような音がするのが特徴です。

 

・その他/胸膜摩擦音

 

胸膜摩擦音は、ギュッギュッと擦れ合うような音がします。

 

胸膜炎、転移性肺がんなど、胸膜が擦れ合ってこのような音がします。

 

 

ピークフロメータとは

 

ピークフロメータとは、
気管支喘息の患者さんの治療に使われるものです。

 

喘息発作の出現を抑え、
呼吸機能を維持することが大切な気管支喘息の患者さんに、
市販されている専用器具のピークフロメータを使ってもらい、
自宅で定期的に努力製最大呼気流量を測定してもらいます。

 

この数値を毎日測定することによって、
喘息のコントロールに大切な自分の気道の状態を
客観的に把握することができるようになります。

 

・ピークフロメータの使い方

 

深呼吸をして、ピークフロメータを口にくわえます。

 

息が逃げない唇でマウスピースを包み、
なるべく早く一気に息を吹きます。